伊勢丹新宿の夏セール初日、開店時の行列は前年の4割減 他店と横並びスタートが影響か

伊勢丹新宿本店は29日、例年より約2週間前倒しとなる夏のクリアランスセールを開始した。日差しが強く、気温が30度近くに上昇する中、建物を取り囲むように行列が延びていき、開店時刻の10時には約4000人(同店発表)に達した。だが、昨年夏(7月12日)の約6400人に比べて4割近く減ったことになる。6年ぶりに他の百貨店と横並びのセール開始で客が分散した。同社では7月27日開始の第2弾セールも計画しており、トータルで夏商戦の底上げを図る。

開店時の行列こそ減ったものの、開店後すぐに1階「プラダ(PRADA)」のバッグ売り場、3階「サカイ(SACAI)」に 入店待ちの数十人の行列ができた他、2階の婦人靴売り場、3階のクローバーショップ(大きいサイズの婦人服売り場)も大勢の客でごった返していた。メンズ館では1階のシャツ・ネクタイ売り場、2階のインターナショナルクリエーターズでまとめ買いする男性客の姿が多くみられた。

セール開始の前倒しについて顧客からは歓迎の声が多い。浦和から来た女性は「この時期にすぐに着られる服を安く買えるのはうれしい。これまで(7月中旬開始)は少しタイミングが遅かったように思う」と支持する。また、9時から並んでいた別の女性は「他のデパートと同じタイミングになったけど、やはり伊勢丹は品ぞろえが別格。迷わずここに来た」と話した。

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、2012年夏からセール開始を他社よりも約1〜2週間後ろ倒ししてきた。衣料品の販売不振に伴い、00年以降、百貨店やショッピングセンターのセールは早期化した。結果、セールまで買い控える顧客が増え、正価(プロパー)で服が売れなくなる悪循環に陥った。同社は需要のピークに適正価格で販売することで、顧客の価格への信頼を取り戻そうとした。

だが、他の百貨店が追従せずセール開始の足並みがそろわなかった。またショッピングセンターやECでは、セール早期化や実質値引きといえるポイント還元が氾濫する中、効果は限定的に終わった。

今回から三越伊勢丹HDは春・初夏物を6 月29日から、盛夏物を7月27日からという二段構えのセール態勢で需要を喚起する方針転換に踏み切った。夏のセールの売り上げシェア自体も縮小傾向にあるため、この時期にプロパーで販売できる商品の強化にも乗り出す。

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