阪急西宮ガーデンズが増床 教育と子育て支援でさらなる集客

阪急西宮北口駅前の大型ショッピングセンター(SC)「阪急西宮ガーデンズ」が、子育て世代の女性に照準を合わせて21日に増床オープンする。

今月開業10周年を迎えるにあたり、既存施設を「本館」と名称変更して改装を実施。クリニックモールと立体駐車場で構成する「別館」を10月1日に先行オープンしたのに続き、これまで本館と駅をつないでいた連絡デッキの一部を取り込む形で地下1階・地上10階の「ゲート館」を11月21日に開業して、3館体制にする。

ゲート館の総事業費は約40億円。延べ床面積約1万1600平方メートルに、大学、学習塾やクリニック、飲食店など13店舗が出店する。本館で不足気味だった飲食テナントを導入するとともに、地域住民の生活に必要な機能を持たせる。 

運営する阪急阪神不動産の若林常夫・社長はSCによる街作りの側面を強調する。「(親会社の)阪急阪神ホールディングスが掲げる2021年度までの中期経営計画のなかで大きなテーマの一つとなるのが、関西で一番住みやすい沿線にすること。ゲート館の開業はこのビジョンを実現するための一環。住宅情報サイトのランキングでは、西宮市は13年から毎年、関西で一番住みたい町として評価されている。これをさらに発展させていきたい。同時に、待機児童の問題など新たな課題が浮上してきているので、そうしたニーズに応える施設を目指した」。ゲート館の開業に合わせて、鉄道の高架下に認可保育と学童保育の施設も12月初旬に開く予定だ。

ゲート館は「教育」「子育て支援」「立ち寄りスポット」の3つをテーマにテナントを構成。文教住宅都市としての側面をさらに強化する目的で、7〜10階に関西学院大学の新キャンパスを誘致したほか、5〜6階には、西宮を中心に幼児から社会人までを対象とした総合教育を実践する学習塾「アップ教育企画」が入り、科学実験教室「サイエンスラボ」やレゴブロックを教材にプログラミング的思考などを育む「レゴスクール」、英会話教室「アナップ」、個別受験指導「個別館」など6教室を開校する。

子育て支援を目的とするテナントとしては、不妊治療や出生前診断を中心とした女性専門クリニック「レディース&ARTクリニック サンタクルス」が1階に入る。診療だけでなく妊活から育児相談、離乳食教室まで行なう他、併設したカフェではさまざまなイベントを開催し、子育てママをサポートする。4階には「ABCクッキングスタジオ」と女性専用フィットネススタジオ、ヘアサロン「K-two」が入る。

駅改札から本館への連絡通路でもある3〜4階は2層の吹き抜け空間とし、曲線や揺らぎをデザインに取り入れることで、ふらっと寄り道したくなる雰囲気を演出する。3階には、イタリアンベースの人気カフェレストラン「グッドスプーン(GOOD SPOON)」が兵庫県初出店となったほか、アップルパイ専門店の先駆け的存在「グラニースミス アップルパイ&コーヒー(GRANNY SMITH APPLE PIE&COFFEE)」も関西1号店を最大規模で出店する。

阪急西宮ガーデンズは来館者数が約2005万人(18年3月期)、売上高が約796億円(17年3月期)と西日本屈指の規模で、08年の開業以来右肩上がりで成長が続いている。同SCの三輪谷雅明・館長は「百貨店(西宮阪急)と映画館(TOHOシネマズ)が入り、幅広い年代層の集客に寄与したことが大きい。また、ゆったりと買い物ができる空間や屋上ガーデンなどの店舗環境も評価された」と話している。